EUSの機械の説明とエコーの専門用語について

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しゅん

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こんにちは!「EUS channel」のブログ運営者のしゅんと申します。 O型で趣味はEUSです。某EUS・ERCP high volume centerに勤めています。

EUSが好きすぎてこのサイトを作りましたが、もともとは白黒画像のEUSになんて全く興味はありませんでした。しかしEUSを実施するにつれて、早期膵癌の発見、ソナゾイド造影の美しさ、EUSガイド下ドレナージの患者満足度の高さを知るうちにどっぷりつかってしまい、自分自身にとって無くてはならない手技・存在になっていました。また、多くの膵がんの患者様を診療する中で、早期発見のためのEUSの大切さを実感するようになりましたが、全国でのEUS普及率はまだまだ低い状況であることもわかってきました。私の目標はこのサイトを通じてEUSを世の中へもっと普及させることで、日本全国の膵がん患者の予後改善に寄与することです。駄文ですが読んでいただければ幸いです。

コンベックス型超音波内視鏡(EUS)トレーニング法 ・描出のコツ:記事一覧

①基本的な用語

G:gain 明るさの数値です。

D:ダイナミックレンジ =コントラストを調整する指標です。高くするとぼんやりします。 低くするとしゃきっとします。

R:レンジ 深さです。画像の拡大率が変化します。

Acoustic power :強くすると深くまで観察が可能です。その結果MIとTIが上昇します。

MI:メカニカルインデックス エコーによる影響で非熱的エネルギーの指標:音圧

TI:サーマルインデックス  エコーによる影響のうち熱的エネルギーの指標
(TIS:軟部組織のTI)

②周波数:高周波数はきれいに見えますが、深部は見えにくくなります。

Penetrate(低周波数):深くまでみえるが、荒い画像になる。造影ではバブルの検出がよくなりますが、バブルが大きくなり、粒がくっついて見えます。深部病変に良い設定。
(ME2ではTHE-Pの設定です)

Standard(中間の周波数):まあまあみえて、まあまあきれいな画像。

Resolution(高周波数):浅いところまでしか見えないがきれいな画像、通常観察はこれ。
            (ME2ではTHE-Rの設定です)

High resolution(超高周波数):激浅設定。SMTや胃壁などの層構造を追いたい時などによい適応です。造影ではこのモードにすると粒が細かくなり、バブルの動きがきれいに見えるようになります。

③bBH:ブロードバンドハーモニック=ティシューハーモニック
    (ME2ではTHE-PかTHE-RをONにします)

美しい画像を取りたければONしましょう。これをONにすると、アーチファクトがとれて画像がくっきりします。ティシューハーモニックモードは、複数の反射波を処理されることでアーチファクトが通常のBモードと比べて低減したモードです。

アーチファクトが低減されるのでくっきり見えますが、その分深い部分(プローブから遠い所)の画像は不明瞭になります。Bmodeが美しいのでF75ではあまり使われないですが、多房性の嚢胞や球部の観察で脈管が重なり胆嚢管が見つかりにくい時など、役にたつところはあります。bBHをONにすると画面が暗くなるので周波数をpenetrateにするとある程度深いところもきれいにみえるかもしれません。

bBHをオンすべきポイント

①球部の胆管や、胆嚢管:浅い範囲に脈管が重なるこの領域は有用です。

②多房性嚢胞:内容物がもやもやしていたり、ductや無エコー域が重なるところは後方エコー増強などがおきてみにくくなるので、きれいになります。

③膵管が細いとき:追う脈管が細いときはちょっとしたアーチファクトで管腔を追いにくくなります。

bBHをオフすべきポイント

①FNA針の先端はBBH ONだと針の先端のアーチファクトが低減されすぎてみにくくなります。アーチファクトを処理しないほうが針の視認性は良くなるということです。
②深い部分の観察はB modeがまさります。深部をしっかり見たいときはオフしましょう。

③経験症例数が少なく、脈管をすぐに見失う時

造影・エラストグラフィーの使い方【F75】

造影EUS(F75):2画面モード(MI=0.3、右の画面はG50D50周波数High resolution)

① プローブプリセットを変更。②DDMを押す。③造影剤が投与されたらカウンターを押す。 

 

Elastographyの使用法:Strain Elastography

① Elastボタンを押す。DDDを押すと2画面になる。
②硬さがでている画像を出して計測を押す。Strain ratioを選択 
③ROI(関心領域)の設定 :まず主病変にROI(主病変)を置く。その後胃粘膜または十二指腸粘膜の赤くなっている部分に二個目のROI(比較対象)を置く。対象に置く時に、プローブ直下の赤い所(胃・十二指腸粘膜)のみがROIに入るように選択する。

Strain Ratio=ROI(主病変)の硬さ/ ROI(比較対象)の硬さとなる。

注意事項:F75は画像の平均化ができるが初期設定では平均化ボタンが非表示になっているためメーカーと相談するか、複数回Strain Ratioを測定して平均化することが必要です。比較対象は、毎回同じ部位でとる必要があり、当院では3回以上取っていることが多いです。

Strain ratioが10を超えると癌(硬い病変)としている論文があり10がひとつの目安かもしれません。

Elastography score:カラーパターンによる診断(Giovannini2009) 

下記のようにROIを設定せずに見た目の色のパターンで硬いかどうか判断し、良悪性を決める方法。

①:soft-homogeneous:完全にsoft(良性) 
②:soft-heterogeneous:だいたいsoft(良性)
③:soft and hard mix: soft hardが半分ずつ(判断困難)
④:Hard-heterogeneous: malignant:だいたいhard(悪性)
⑤:Hard-homogeneous: malignant :完全にhard(悪性)

 

 

 

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こんにちは!「EUS channel」のブログ運営者のしゅんと申します。 O型で趣味はEUSです。某EUS・ERCP high volume centerに勤めています。

EUSが好きすぎてこのサイトを作りましたが、もともとは白黒画像のEUSになんて全く興味はありませんでした。しかしEUSを実施するにつれて、早期膵癌の発見、ソナゾイド造影の美しさ、EUSガイド下ドレナージの患者満足度の高さを知るうちにどっぷりつかってしまい、自分自身にとって無くてはならない手技・存在になっていました。また、多くの膵がんの患者様を診療する中で、早期発見のためのEUSの大切さを実感するようになりましたが、全国でのEUS普及率はまだまだ低い状況であることもわかってきました。私の目標はこのサイトを通じてEUSを世の中へもっと普及させることで、日本全国の膵がん患者の予後改善に寄与することです。駄文ですが読んでいただければ幸いです。

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