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胆嚢に思いを馳せる(胆嚢腺筋腫症メインに)〜Hosshiのつぶやき〜
こんにちは!!
Hosshiです。
今回は胆嚢について思いを馳せようと思います。
(膵臓癌について述べようと思ったのですが勢いで申し込んだ肝臓専門医試験があるのでちょっと軽めに胆嚢でいこうと思ったのですが・・・おもったより時間かかってしまいました笑)
胆嚢・・・それは胆汁を貯める袋で胆汁の貯蔵と濃縮の役割をもっています。
胆石やポリープが大きくなったり、腹痛などの症状がでてきてしまったら、胆嚢という臓器ごととられてしまうちょっと儚いやつです。
また全ての哺乳類に胆嚢があるわけではないみたいです。(特にラットや馬などにはないとされています)
SHUN先生のEUS教育コースでは
胃内捜査では初学者でも簡単に描出できる最初の優しい面と
球部操作での最後のボスキャラの面としての顔をもってます。
胆嚢の描出には
①胃内操作では肝臓のS3の先端までスコープをすすめて右回転とフルアップアングル
②球部操作では肝門部付近で左回転+スコープの引き(左回転80%・右回転20%)で描出されます。
とくに②番めではダウンを用いて胆管をつぶれないように描出し、肝門部側に追いかけて行ってさらにダウンでまわしていくとでてきます。
最初このダウン回しが球部という狭い空間かつ、ある程度の抵抗ある中でダウンを行うのでEUS習いたてのころは非常に違和感あったのをおぼえています。
ダウンで回すことってEUS意外あまりないのではないかなって思います。
SHUN先生のスクリーニングができるようになった指標で
球部操作で下部胆管から肝門部胆管・胆嚢管までおっかけていき胆嚢を描出し、
再び下部胆管まで戻るという一連の動作ができるようになったらスクリーニング卒業というものがあります。
最終試験という面からもなかなか描出難しいことがわかります。
あの頃よりは僕も上手くなったかな〜と思いをはせつつ 😉
そんなこんな胆嚢ですが・・
今回は数ある胆嚢疾患の中で僕が特に気になった
胆嚢腺筋腫症!!
についてのべようと思います。
胆のう腺筋症といえば・・・
胆嚢腺筋腫症について語る際に必ずでてくる言葉・・・それは
全力で叫びましょう!
そう・・・ロキタンスキーアショフ洞です。
名前長いです。
人物名だと思われますが・・ロキタンスキーアショフさんなのか
ロキタンスキーさんとアショフさんなのか・・・
気になって論文色々みたんですがほんと全然かいてないんですよ。
日本の論文に。ほんと全然書いてない。
さらっと胆嚢にはロキタンスキーアショフ洞があって〜チェケラ!!みたいな書き方です。
いやいやロキタンスキーアショフって長いし。違和感感じないの?という思いで夜も眠れない日がづづきました(たぶん)。
するとどうでしょう。
英語で検索するとでてきました。
なんと海外版WIkiにのってました。笑
オーストリアのロキタンスキーさんとドイツのアショフさんによって名付けられたとかかれていました。
Baron Karl Freiherr von Rokitansky (1804-1878), Czech pathologist in Vienna, Austria 5
Karl Albert Ludwig Aschoff (1866-1942), pathologist in Bonn, Germany
上がDr. Rokitansky ・下がDr. Aschoff です。
お二人は病理医です。
なかなかダンディな顔立をしてますね。
どことなく何かを成し遂げた顔に見えます。
そもそもなぜRokitansky-Aschoff Sinus があるかということですよね。
胆嚢は組織学的には粘膜筋板がなく、胆嚢粘膜上皮、固有筋板、筋層、筋周囲相、漿膜からなり一般的な消化管構造とは異なっているんですね。
ここで大事なのは粘膜筋板がないということです。
粘膜筋板の役割ですが・・・
粘膜筋板はそれぞれ方向の異なる数層の筋繊維の層によってなり、
その役割は、
消化管全体の収縮とは独立した粘膜層の収縮による陰窩の腺液の放出や
粘膜表面の接触面積を増やす
と考えられています。
胆嚢はそもそも胆汁の貯蔵と濃縮を担っています。
その他の消化器のような複雑な収縮や吸収を必要としないので筋板がないのかなと推察します。
また胆嚢粘膜上皮は一層の立方粘膜上皮です。
イメージとしてはビーズが一列にならんでいるような感じですかね。
粘膜筋板という支えがないので粘膜上皮細胞が増殖するとどんどんめりこんでいって筋層〜漿膜下層まではいってしまいRokitansky-Aschof sinus(RAS)を形成するといったイメージでしょうか。
あくまでイメージですが・・・
このRASですが
くぼみなので、細菌の温床になって胆嚢炎を起こしたり、胆石のきっかけになったりすることも多いみたいです。
なんか憩室炎ににてますね。
慢性炎症が起きるから反応性に増殖し肥厚しているんでしょうね。
胆のう腺筋症の定義は?
また
1960年Jutrasが
RASの増殖とそれにともなう胆嚢壁の肥厚を引き起こす病態を胆嚢腺筋腫症(gallbladder adenomyomatosis)
として報告して一般化したとのことです。
ではどれだけ肥厚したら胆嚢腺筋腫症とよぶのかという問いには
武藤さん方々が、
『胆嚢壁1㎝以内にRASが5個以上し存在し壁が3㎜以上肥厚したもの』
という定義を提案してこの基準が用いられています。
(武 藤 良 弘:Adenomyomatosis.胆 嚢 疾 患 の 臨 床 病理,武藤良弘編,医学図書出版,141―160 : 1985 )
まあまあですよね。
1㎝以内に5個ってだいぶもぐりこんでますよね。笑
潜り込み放題です。
筋板がないだけでこんなに潜り込めちゃうんですね。
僕も暑い日はロキタンスキーアショフみたいにプールにダイブしたいです。
この胆嚢腺筋腫症分類としては
①びまん型(Diffusel type)・・・胆嚢全体にびまん性に存在
②分節型(Segmental type)・・胆嚢頸部や体部あるいは両方にまたがり輪状に存在
胆嚢を二つに分節する
③底部型(FundalType)・・・胆嚢底部に限局的に存在する
以上の三つがあります。
胆嚢腺筋腫症と胆嚢癌との関連性は?
胆のう腺筋症と胆のうがんとの関連性はいまだにコンセンサスがついていないですが
この中で注意すべきなのは
②番の真ん中がくびれている分節型です。
胆囊腺筋症 279 例中胆囊 癌合併例は 12 例であり,そのすべてが分節型で 合併率は 6.4% であり,
その関連性を示唆している
(Ootani T, Shirai Y, Tsukada K, et al : Relationship between gallbladder carcinoma and the segmen- tal type of adenomyomatosis of the gallbladder. Cancer 69 ; 2647―2652 : 1992)
さらに
分節型の胆囊癌 合併率は6.6% と他の胆囊腺筋症の型での合併率 3.3% より高かった(Nabatame N, Shirai Y, Nishimura A, et al : High risk of gallbladder carcinoma in elderly patients with segmental adenomyomatosis of the gallblad- der. J Exp Clin Cancer Res 23 ; 593―598 : 2004)
とかかれています。
その理由としては諸説ありますが
・分節型は頸部あるいは体部で壁が部分的に肥厚し、胆嚢の内腔が違いに交通のある二つにわけられ、
壁の肥厚部位により内腔が挟小化すると
底部側の胆汁鬱滞により粘膜上皮化生が促進され胆嚢癌が発生しやすい
・胆汁鬱滞により底部側粘膜の 固有上皮が胃型化生上皮に変化することで胆嚢癌 が発生すると推測されている
みたいです。
どどのつまり・・・
くびれているやつには気を付けろってことですね。
女性でもくびれ女子には気をつけたほうがいいのと一緒ですね。
大抵くびれ女子は港区女子ですからね(ちがうか笑)
下手に手をだすと金銭面で大変なことになります(笑)
とのことで今回は
胆嚢について思いをはせました・・・
投資チャンネルも随時更新していこうと思います。
さてさて肝臓専門医試験がんばろ。
では
By Hosshi