コンベックス型超音波内視鏡(EUS)トレーニング法 ・描出のコツ:記事一覧
このページでは、EUS初学者にとって最初の障害となる食道への挿入について解説したいと思います。
目次
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食道への挿入
まず挿入がなぜ難しいのかという問題から考えたいと思います。我々消化器内科医は食道への挿入は、胃カメラ同様に喉頭蓋や、梨状窩をみながら挿入したいという思いがあります。
しかし、上の図のようにコンベックスEUSは前方斜視であるという性質上、しっかりと喉頭蓋や梨状窩を観察しようとするとダウンアングルを大きくかける必要があります。このようなスコープの形では、少しpushするとすぐに喉頭蓋にスコープが当たってしまいます。実臨床では、胃カメラと同様に大柄の男性は口腔内が広い事が多く多少喉頭蓋をみる余裕がありますが、小柄な女性や首が短い方は口腔内が狭いため特に挿入が難しい傾向があります。
舌を描出しながらエコー画面で挿入する
そのため、内視鏡画面を全く見ずにエコーで舌を描出しながら挿入していく方法を考えました。舌とプローブがくっついてると喉頭蓋にあたりにくいので患者負担が減る可能性があります。
実際の方法ですが、舌を描出しながらプローブを圧着させてそのままスコープを進めるとスッと抜けます。ここから内視鏡画面に注目すると、被裂襞か、その襞の上の赤い線状の模様が見えます。そこで少し左回転して気管に入らないように少しすすめて、左梨状窩に入り込みましょう。そこで右回転ダウンプッシュすればだいたいスムーズに挿入できます。
Follow the space techniqueと 食道挿入
舌を描出するだけでなく、エコー画面全体に視野を広げて挿入する事も最近は重要ではないかと思っています。ある程度目を慣らしていく必要はありますが、舌だけでなく咽頭内全体のエコー画像に注目してみる事が挿入の助けになる事がわかってきました。
梨状窩までたどり着いてから挿入が難しい症例も実臨床ではよく経験しますがここでしっかりエコー画面をみて(どうせ内視鏡画面は赤玉ですし)毎回食道挿入していくようにすると、ほぼ挿入困難は無くなります。
すなわち、正しい方向にスコープをあてていれば必ず食道へ至るスペースが見えます。また、間違った角度で挿入しようとpushした場合でもしっかりエコー画像をみていれば、その方向には全くスペースは見えないので、スコープを進めるべきでないということが分かります。
まとめ
食道挿入は、前方斜視というコンベックス内視鏡の性質上胃カメラのように喉頭蓋を確認しにくい症例があります。エコー画面で舌を描出する事が挿入の助けになる可能性が高いと考えられ、梨状窩に到達してからもエコー画像を確認する事が挿入においては重要である。
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