サイトアイコン EUS channel

コンベックスEUSの検査でどんな写真をとればいいの?何を測定するの? 

世界一やさしいEUSの教科書 目次|コンベックス型超音波内視鏡(EUS)描出法 からインターベンションとその他

どうも!!!

EUS channel shunです。

 

今日は一般病院のK先生からのご質問ご要望をいただきましたので紹介いたします。

「当院のEUSでのエコーの操作は検査技師が担当しています。
どういう写真をとったらいいのか?どういうものを測定するのか、図り方も含めて教えて欲しいです!」

上記ご質問をうけまして普段shunが意識している撮影のコツをわかりやすくまとめてみました。

コンベックスEUSで撮影・測定すべきもの:基礎編

各施設で静止画で記録すべき断面を定め、一定の基準で行なうことが大切です。

shunは、コンベックスによるeusスクリーニングでは下記の20カットを撮影するようにしています。

20画面以上を記録する(20カットを参考に)

 

 

限局性、腫瘤性病変は必ず 最大径(長軸)×短軸と部位を記載する。

撮影は必ず、計測なしの画像と計測ありの画像を二枚順に撮影します。

計測はモニタ上で画像を十分に拡大して行います。 

腫瘍は長軸×短軸で、IPMNはまず最大長軸を測定し、その後短軸を測定しましょう。

胆管・膵管は短軸で測定します。

胃内・球部・下行部の各操作での測定ポイントは?

胃内操作は上記20カットの⑥、⑧、⑨(門脈より体部側で最低一ヶ所)くらいで膵管を測定し、④か⑦で胆管を測定します。腫瘍がある場合は腫瘍尾側の膵管も測定しましょう。(以下の丸数字は上記の画像の20カットに対応しています。)

 

球部は総胆管は⑭、膵管は⑱で測定します。下行部操作が困難な場合もあるので、膵頭部の膵管や胆管の太さも⑬で測定しておきます。

 

下行部は⑳で膵管、胆管を測定します。乳頭部がんなどがあれば著名に拡張することもあります。IPMNでここの膵管が大きく拡張していれば乳頭から粘液が溢れ出てくる所見であるフィッシュアイサインを撮影できるチャンスなので乳頭をチェックしましょう。

⑲膵頭部の副膵管が拡張している場合は測定しましょう。膵管癒合不全(Divisum)の可能性があります。

 

限局性病変のみでなくびまん性病変にも注意する

慢性膵炎は実質の変化も大切です。普段の膵臓よりも、低エコーだったり、蜂巣状(分葉状)の低エコー所見が見られることもあります。膵石があるかどうかも良くみておきましょう!

また、自己免疫性膵炎などは実質の模様をきれいに記録しておきましょう。

限局型の自己免疫性膵炎はどこまでが正常膵でどこまでが、異常な膵実質か

あとからわかるようにしっかり写真をとる必要があります。

 

コンベックス描出の弱点 :画像診断研究会にはラジアルも必要です

画像診断研究会は論文よりも画像の美しさがもとめられる場面です。コンベックスの画像の弱点は知っておく必要があるでしょう。

 

①膵体部の膵管

コンベックスを用いると膵頭部から頚部は長軸に膵管が観察できますが、

膵体部から尾部にかけては短軸に膵管が見えてしまいます。

 

一方でラジアルを用いることで体尾部は、長軸に膵管がみえます。

 

例えば、上皮内癌の観察で、膵体部病変の場合は

膵管が長軸に描出できるラジアルを用いることで、ERCPとの対比が可能となります。

 

病理学的な検討をしっかりとしたい場合は、コンベックスだけでなくラジアルの画像を撮影しておくことが時に必要となります。

 

②球部操作の胆管

十二指腸球部の胆管はコンベックスでは断続的に単軸で見えることが多いですが、ラジアルでは広範囲に長軸にみえます。

ラジアルで全方向の描出が可能であることを最大限いかしてきれいな写真が撮影できます。

これもERCPと対比しやすいためときに有用でありしばしば病理的な検討を行う際に必要となります。

 

コンベックスとラジアルでは走査方向が垂直になっており、コンベックスで短軸でみえる場合はラジアルで長軸となります。どうみえるかは患者さんにより異なり、やってみないとわからないところですが一般論は知っておく必要があります。

動画の撮影ポイント

主病変は、可能なら動画も撮影する

画像診断の研究会やAI時代に対応するために動画撮影も大切です。
保管が大変ですが、動画はUSの静止画の客観性を高めて説得力を出すために必要です。

動画撮影のポイントは

膵腫瘍は、
主膵管との関係や周囲の血管との関係、そしてカラードプラ(またはe-flow)を載せた動画も必要です。


膵実質や膵管がみたい場合は、

20カットの⑳番を撮影してから引いて来ると連続して膵管や実質が確認できます。先端バルーンをしっかりふくらませてスコープぬいてくるとズルっと抜けにくいです。
難しい場合各パートを個別で撮影してもよいでしょう。

 

胆管腫瘍は、
胆管の走行に沿って壁の不整や肥厚などがわかることが望ましいです。
胆嚢管や胆嚢の壁の変化もみれるととても良いです。
球部操作で⑬⑭⑮⑯⑰と撮影するのがもっとも美しくみえると思います。

 

動画撮影に最適なUSBは? オリンパスME2や、AlokaにつながるUSBはあまり安いUSBだと繋がらないこともあります。

shunのオススメUSBはSONY1択です。

ソニー SONY USBメモリ 32GB~128GB (容量がおもめの動画をたくさん集めると32GBではちょっと足りない、64GB以上がオススメです。蓋がなくノック式でストラップなどがつけられるものが使いやすいです。)

 

より美しい画像をとるための工夫

周波数の調整、ティシューハーモニックのON、ダイナミックレンジ(コントラスト)の調整も有用です。以下の記事も参考にしてください。

EUSの機械の説明とエコーの専門用語について

きれいで、説得力のある画像がとれるティシューハーモニックモードの使い方

 

まとめ

あなたの撮影した写真が今回とくに大した所見がないものであったとしても、

次回撮影したときには世界で唯一の大発見があるかもしれません。

その時必ず前回はどうだったのかという議論になります。

だから標準的な撮影が大切なのです。

めんどくさがらずにしっかり撮影していれば必ずいいことがあります。

がんばってくださいね。

世界一やさしいEUSの教科書 目次|コンベックス型超音波内視鏡(EUS)描出法 からインターベンションとその他に戻る

 

 

モバイルバージョンを終了