世界一やさしいEUSの教科書 目次|コンベックス型超音波内視鏡(EUS)描出法 からインターベンションとその他
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EUSガイド下ランデブー法 EUS guided rendez−vouz method (EUS-RDV)
ランデブー法!
なんか熱そうな名前ですね。
ランデブーには接近、会合、待ち合わせなどの意味があります。
EUSによるランデブー法とは
①EUSガイドで胆管を穿刺し、
乳頭からガイドワイヤーが出るように誘導します。
ガイドはそのままでいったんカメラをEUSスコープから
ERCPスコープに入れ替えます
②ERCPスコープで乳頭のガイドワイヤーを生検鉗子でキャッチし、
③それを利用して胆管挿管する方法がランデブー法です。
EUSとERCPスコープがガイドワイヤーを介して一緒に処置を完遂するので
ランデブーという素敵な名前がついたのでしょうか。
冷静に考えるとすれ違ってる気もしますが、、、
この手法の優れた点は、
通常のERCP困難症例でも最終的にERCPと同様に
①生理的な経路でステントを留置することができることです。
その他のEUSBDの手技ではステントを腹腔など生理的ではないところに置くのが不安ですよね。
②胆管の穿刺後すぐにガイドが乳頭を通過すればカテーテル挿入の必要がなく、胆汁が漏れる量を最小限にできる。
この手法の残念な点は、
①処置の工程が非常におおく煩雑で難しいこと。普通のEUS−BDの方が慣れれば簡単です。
②EUSーBDで回避しうる膵炎のリスクがある。
③穿刺ラインによっては非常に難易度が高い。
④適応は広いがなかなか第一選択になり得ない(煩雑で、難易度が高いため)。
EUS−RDVの適応
前提条件:乳頭にアクセス可能な症例
最終的にERCPスコープを挿入するので、乳頭に到達可能であることが必要です。
①術前症例 最終的に生理的経路を使うため、手術への影響が少ない。
外科の先生と協議する必要がありますが、切除可能である場合は減黄を目的としたEUS-BD(EUS-CDS,EUS-HGS,EUS-GBD)はあまり行いません。癒着で手術が実施困難となる場合があるからです。
②手術適応のない良性病変 (胆管挿管困難な胆管結石など)
胆管深部挿管困難など何らかの事情で、ERCP困難である症例が対象となります。
③EUS-BDを試みたがステントの留置が困難な症例。
EUSーBDが困難な症例は食道穿刺になってしまったHGS、どうしても拡張デバイスが挿入できずステント挿入ができないHGS症例など。特殊な状況でEUS-RDV法がEUS-BDのトラブルシューティングとなり得ます。
代替治療は:PTBD(経皮的胆道ドレナージ)、EUS-BD、手術
この処置は煩雑なのでPTBDが実施されているケースも多いです。PTBDであれば膵炎も起こさないので術前、良性病変にこの処置が必要なケースはそこまで多くはありません。
総胆管結石もランデブーを無理にしなくても開腹下の胆管切開術という技術もあります。
手術であれば全身麻酔下であり安全に処置できます。
常に代替治療の存在を意識しましょう。
やめ時
引き際が肝心です。穿刺がうまくいかなければ代替治療に切り替えましょう。
使用デバイス
カメラ:UCT260T、TJF260V
穿刺針:19GEZshot3 あるいは19G Sonotip
ガイドワイヤー:0.025inch visiglide 2 or M-through
カテーテル:MTWなど
ESTナイフ:クレーバーカットなど
生検鉗子(胃カメラ用の小さいもの):把持鉗子などはガイドが滑るので小カップで
穿刺ライン選択の実際
各穿刺ルートの利点と欠点
胃内穿刺:肝内胆管ルート 難易度:normal~hard
肝内胆管拡張があれば穿刺は可能です。ランデブー前提ならB2で食道穿刺になっても問題ありません。ワイヤーが順行性に入頭部へ行くので比較的操作はしやすいです。
球部穿刺:Long position 難易度:hard
球部で総胆管を穿刺します。胆管拡張が乏しいと基本的にワイヤーは肝門部にいきます。反転させることも可能ですが、なかなか技術的には大変で苦労します。UNEVENを使うといいかもしれませんが、UNEVEをいれるために拡張操作が必要で、拡張するとさらに胆管拡張がなくなるので、すごく難しいです。かなりの胆管拡張例以外は、おすすめしません。
下行部穿刺:Short position 難易度:normal~hard
下行部で胆管を長軸にだして穿刺します。これは比較的穿刺部も近くかんたんであることが多いです。胆管拡張が乏しいとこれも難易度は非常にたかくなってしまいます。
ランデブー法を成功させるために必要な工夫
point1
ガイドは乳頭から長く出します。キャッチするのは大変なので、ガイドワイヤーの軸にカテーテルの胆管軸を合わせてサイドバイサイドで挿管します。
これで入らなければ、キャッチを試みましょう。
point2
ガイドのキャッチはなるべく小カップの生検鉗子やスネアを使いましょう。
point3
5Frや6FrのENBDやERPDを穿刺部から順行性においてしまうという報告もございます。この方法ならばガイドのキャッチが確実になります。
まとめ
ランデブー法は成功すれば生理的な経路を使えるため理想の主義です。良悪性、術前、切除不能によらず適応となります。
しかしながら、ランデブー法は、手間暇が非常にかかる主義で、カメラの交換やガイド誘導、キャッチが非常に難しいです。
通常のEUSーBDの方がなれればかんたんで、タイプITなどだれしもがかんたんにEUS-BDができるようになった現在では
実施される頻度が低下しているかもしれません。
また、経験的にはランデブー法を選択しないといけない状況は肝内胆管拡張が乏しいPTBDが困難である良性結石などのことが多いです。
そのような症例は総胆管の拡張も乏しいことが多く穿刺が難しいこともあります。何回か穿刺しても穿刺が困難であったり出血した。
ガイドがどうしても乳頭を超えないなど、難しい状況から脱することができなれば、処置を中止することもひとつです。
処置時に無症状であれば無理はせず一旦患者様には退院してもらい、胆管炎再発時の治療を検討しましょう。