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【完全保存版】早期膵癌診断に役立つ標本造影の方法

標本造影とは?どう役立つか

標本造影とは、膵臓癌の術後の切除検体に造影剤を注入し、ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)のように膵管を描出する技術です。

これにより、切除された検体上で、膵管の狭窄部が同定することができます。
Stageの進んだ大きな腫瘍であれば、触診で腫瘍部が同定できますが、ステージ0、Ⅰ病変など微細な病変であれば腫瘍がどこにあるかの判断は
難しくなります。

標本造影の意義は、

①造影することで標本における膵管狭窄部の場所が同定できる。
膵上皮内癌(CIS)は外から触ってもどこにあるかは、わかりません。標本上で狭窄部を可視化することは大切です。

②過造影して、分枝膵管までうつすことが可能。病理所見と画像の対比ができる。
分枝膵管の情報など膵炎をきにせずしっかり造影できるので、しっかりとした膵管像が評価できます。

③ホルマリンを膵管に満たすことで、膵管上皮の脱落を防ぐ。
膵管上皮は術後数時間経過すると脱落してしまいます。標本がおちたらすぐにホルマリンをいれることで膵管上皮が固定されしっかり評価できます。

 

標本造影の実際

準備物品:
ホルマリン(病理に取りに行く、サイズ小)、造影剤(ビジパーク1本)、ピンセットまたはセッシ、
防水のシート(使用時は撥水面を上にする)、22Gアンギオカット点滴針(外套のみ使用)、ガーゼ

事前準備

① 検体をOP室に取りに行き、必要に応じて外科医にお願いして腸管や胆嚢を開いてもらう。膵管の位置を教えてもらう。

② 標本を回収したらすぐにホルマリン2ml程度をアンギオカット(22G)の外筒をつけたシリンジで膵管内に注入する。

③ 20mLシリンジに造影剤:ホルマリン 3:1混合液を満たしておく(実際には10mLも使用しない)

④ 透視台に撥水面を上にして防水シートを引く。

撮影

①透視の撮影を連続撮影モードにする

② 造影剤とホルマリンの入った22G針外筒を検体切離断面膵管(PDまたはDPの場合)に挿入する
(乳頭からはまず入らない、主病変を傷つけないように術前に位置確認する)

③ シリンジ内の空気をしっかり抜く、セッシで、入口部からのバックフローを抑える。

(こぼれた造影剤は適宜ガーゼでふきとる。)

④少量ずつちょんちょんと造影剤を注入していく。いれるタイミングでしっかり撮影。

⑤ 外筒根部の膵実質をセッシなどで押さえて逆流による断端側への流出を防ぐ

⑥ゆっくり注入しながら撮影者と息を合わせて撮影する(タイミングがうまく合わないのでとにかく撮影しまくる、動画が取れる場合は動画)

⑦腺房造影になるまで、分枝膵管がしっかりうつるくらいしっかりと造影剤をいれる。

⑧ 造影剤が逆流で漏れて検体につくと撮影の邪魔になるので適宜ガーゼで拭く
(断端や検体の裏側につくので適宜拭く、シーツの吸水面が表だと漏れた造影剤がそこに吸収されてしまうので画像が悪くなる。)

⑨膵管の狭窄部を同定したら、膵管の狭窄部と同じ高さの脂肪組織にピンク針などで1-0絹糸などをかける。

⑩ OP検体の病理依頼を記載し、 病理依頼に糸の部分の情報を記載する。(例:糸が膵管狭窄部です。)
(外科医に病理での評価で重要な箇所を聞いておく、特にどこに腫瘍があるか)

 

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