サイトアイコン EUS channel

【 完全保存版】消化器画像診断研究会と画像診断発表のコツ

まれな症例の1例報告

上司A
この症例めずらしいから次の研究会でだしてよ!
わ、わかりました。(どうすればいいの!?)

EUS channel shunです。

今度学会でまれな1例を発表することになった。あるいは臨床的に珍しい患者さんがいた。どのように発表したらいいのでしょう?

「画像診断研究会の発表は普通の学会発表よりむずかしそう」

そのように考えられる方も多いと思いますが、実際その通りです。

なぜなら一枚の画像に極限までこだわる人達が集まる会で、その方をプレゼンで説得、
あるいは納得してもらわねばならないからですね。

学会発表より確実にワンランク上のクオリティーが求められます。

症例報告には形式があります。

消化器画像診断研究会

第70回消化器画像診断研究会に参加してきました。年に二回開催されます全国の猛者が集まる会です。切除後の病理から何故この画像になったのか?事前に診断することができたかをみんなで議論する会です。

提示画像のクオリティが低かった場合などは先輩方からてきびしく御指導いただけます。

朝8時からはじまり、夕方6時すぎまでみっちり非常に勉強になりました。

画像を提示する際の作法があり、日常診療でどのようなことを気をつけるか、提示するような症例を見た場合検査の時に気をつけるポイントなどを解説いたします。

【珍しい症例を見たときの検査とやるべきことリスト】

・腹部エコー

スケールのない画像が必要、エコーは必ず必要。無ければない理由を示す。

 

・単純および造影CT

ercp前、ステント挿入前に必ずとる。ステントなど入れてしまうと画像が修飾されてしまう。キー画像も作成する。CT画像から関心部きりとって大きくして出すのも必要。

 

・MRI (MRCP)

ercp前、ステント前に必ず撮影する。

T1(in phase、out phase)、T2、MRCP(heavy T2)、ADCmap、diffusion(b値も記載)も出す。

ADCmapとDWIの両者をださないといけない理由は、
もともとT2高信号である胆汁などの成分がDWIでb値が高くてもある程度高信号として残ってしまうため。
ADCmapでは拡散制限の強いものが低信号になるため、DWI(高いb値の画像)と比較することで鑑別が可能。

こちらのAntaaスライドが参考になります。

 

 

・EUS 超音波内視鏡

基本は動画の提示が必要。
静止画では判断が難しい。腫瘍そのものの動画と周囲のロケーション(膵管や胆管、血管との関係)がわかる動画。
必要に応じてラジアルもする。ラジアルは、乳頭部や胆管や膵管を長軸に見たい時に有用。珍しい症例ほどラジアルの画像が求められる。

 

・ERCP 超音波内視鏡

しっかり空気を抜き、ゆっくり造影しはじめ、バルーン造影、カテやワイヤーがない画像を撮影する。分枝膵管の位置を見ることも重要。

 

・IDUS 

最外層の評価、初回のERCPの時に実施しておかないとステントなどで壁の肥厚が起こってしまう。これも動画が取れれば動画を

 

・胆道鏡(pocs)

動画が重要。静止画ではなかなか伝わらない。

術後胆道鏡も手稲渓仁会病院の先生は実施されてました。

・造影EUS (可能なら)

腫瘍造影と造影後スクリーニング

デブリスかどうか、壊死などがある時など腫瘍の存在診断に有用である。造影CTなどと造影態度が異なる場合もある。

 

症例提示のポイント

・CT、MRIはできるだけ大きい画像で。この会はDICOMでデータを事前に送っているのでキー画像だけでも良い。発表時間が5分しかないのでキー画像しか無理です。

あわせて読みたい 画像診断発表のためのパラパラCT画像の作り方

・EUSは動画が全例求められます!静止画のみでは判断ができない。

エコーは術者の主観が入ってしまう。病理との対比が可能なこともあり動画が欲しい。

 

・病理のマッピング

正確さが何よりも大切。想像や妄想で創作しない。
ありのまま忠実に作成する。切り出しをマッピングする。

 

質疑応答のポイント

病理で認めたある所見が、他の画像(CT、MRI、EUS)ではどうなっていたのか?

画像(CT、MRI、EUS)で見えた所見が病理ではどうなっていたのか?

病理の内容が答えであるため、自分でしっかり病理画像を見てなければ
議論の余地がありません。

 

まとめ

今回の画像診断研究会のランチョンセミナーで手稲渓仁会病院の先生が画像診断力向上のためのポイントをおっしゃっていたことを、まとめと致します。

 

画像診断力向上のポイント

①切除例で画像と病理の対比を行い、画像所見がどのような病理像を反映しているか意識する。(病理報告書を見るだけでは駄目!)

②個々の症例の画像について病理標本の割面をイメージして読影する。

③非典型画像、特殊な腫瘍を含めて普段から多くの画像や病理にふれる(自分で経験できないものは論文や本、学会、研究会で学ぶ)

非常に大切なことだと思いました。私もこれからも精進したいと思います。

 

発表プレゼン作成に役立つ本

①病理像+内視鏡・CT・MRIで一目でわかる! 臨床医が知っておきたい消化器病理の見かたのコツ(病理だけでなくCT、MRIなどもわかりやすく提示されております)

 

②手稲渓仁会病院消化器病センター胆膵Clinico-Pathological Conference: 厳選36例から学ぶ (手稲ではCPCが手術例全例にされていたようです。現在は症例が多くなり厳選されているとのことですが、その中の厳選症例36例。おそらく日本で一番CPCを行っている施設ですから発表画像の作り方は参考になります。)

 

③肝・胆・膵腫瘍 (癌診療指針のための病理診断プラクティス)

(病理の詳しさが半端ではありません。深く病理について知りたい時にみる本ページ数も多く大満足の内容です。)

 

④3週間de消化器病理: 臨床医のための病理のイロハ

 

⑤臨床に活かす病理診断学 消化管・肝胆膵編 第2版

 

①-③が特におすすめです。あまった研究費、ふるさと納税などでゲットされたアマゾンギフト券の使いみちにはよいのではないでしょうか。

EUSWeb教本の目次|コンベックス型超音波内視鏡(EUS)トレーニング法 ・描出のコツ・インターベンションのテクニックとその他たくさん

モバイルバージョンを終了