コンベックス型超音波内視鏡(EUS)トレーニング法 ・描出のコツ:記事一覧
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EUSで穿孔しないために知るべき3つのこと
EUSは全膵を観察できて、1cm未満の小さな膵がんも発見できる非常に空間分解能も高い優れたデバイスです。しかし、スコープの直径は大きく前方斜視鏡であることから処置時に穿孔することがあります。全国集計ではEUSの偶発症の頻度は0.024%でしたが近年EUSの実施件数も増えてきており、その頻度は増加傾向にあると考えます。検査前にトレイニーには充分EUSの危険性を理解してもらう必要があります。
私達は下記の3つポイントをEUSスコープをこれから握るトレイニーに説明しています。
①EUSプローブの構造
シェーマのカメラ(レンズ)の位置に注目してください。コンベックス型超音波内視鏡の先端(エコープローブ)と内視鏡画面には不一致があります。それを知ってもらうことが最も重要です。
②穿孔のリスクの高い状況
患者背景によるもの
・胃十二指腸潰瘍既往:潰瘍瘢痕などでそもそもスペースがないことがあります。
・腹膜炎の既往・癒着している:スコープに抵抗を感じる時は癒着の可能性があります。
・癌疑いまたは既往で粘膜が脆弱になっている:挿入するだけで穿孔することもあります。検査が中止可能かどうかの引き際は、常に意識しましょう。
・消化管再建手術・放射線治療・食道や噴門部のESD既往:これも消化管が脆弱になったり、狭窄の原因となります。最大限注意してください。
患者の解剖学的挿入困難部位
・球部への挿入(幽門輪をこえる):人によっては幽門輪が狭いため挿入が難しいことがあります。
・下行部への挿入(最も危険):ここの穿孔が本当に多いです。難しい時は本当に下行部へ進める必要があるか、検査が完結しているかどうか常に考えてください。また必要に応じて先端バルーンも装着しましょう。粘膜を傷つけずに挿入しやすくなります。
③エコー画面での挿入法(Follow the space technique)
狭い管腔を通る時は現在のUCT260 では内視鏡画面は赤玉になってしまい危険な事があるかと思います。Follow the space technique(FST) というコンベックススコープでプローブ前方のエコーフリースペースを探しながら狭い管腔を挿入して行く手
上述のように内視鏡画面はスコープ先端ではないため、再先進部の情報としては不十分です。エコー画面こそが再先進部でありしっかり見る必要があります。
壁に当たらなければ消化管穿孔はしないため安全ですし、エコーフリースペースや空気がエコーで描出される部位はスコープ
また、消化管粘膜への近接状態において今自分がスコープをpushしている方向が正しいかどうか、消化管に負担がかかっているのかどうかについて
内視鏡画面では赤玉のためわかりませんが、
エコー画面では進行方向の情報が見えるため管腔へ負担がかかっているかどうかわかります。
負荷がかかっていそうに見えたら、押してはいけませんよね?
おかしいなと思ったらエコー画面をみてください。それで穿孔は防げるはずです。
狭い管腔を通る大腸やR-Y再建症例でもFSTを試してみたところ同様に有用でした。
まとめ
①EUSプローブの構造を知り、②穿孔リスクが高いポイントを知り、③Follow the space technique を知ることがEUSスクリーニングを安全に行う上で重要であると考えます。
上記内容はもっと詳しく⇩にまとめております。