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IPMN(膵のう胞)の手術適応とフォローアップ EUSの適応について

投稿日:2018年9月15日 更新日:

コンベックス型超音波内視鏡(EUS)トレーニング法 ・描出のコツ:記事一覧

IPMN国際ガイドライン2017

その膵のう胞、経過観察か、手術かどうするか迷うことはありませんか?

IPMN国際ガイドライン2017が2018年2月に発売されましたのでご紹介致します。

のう胞の大きさによるフォローアップの間隔や、嚢胞の状況による手術適応が記載されています。

日常診療に役立つキー画像を作成いたしましたのでお役に立てれば幸いです。

High risk stigmataとWorrisome features

IPMNを見たときにまず考えるべきことは 、High risk stigmata (手術適応となる高リスクグループ)かどうかです。この段階で明らかに手術が必要なものがふるいにかけられます。

次にWorrisome featuresという所見でEUSを実施するかどうか決めます。たくさんの項目がありますが、手術するかどうかはこの項目では決まりません。あくまでもEUSの適応の判断となります。

嚢胞内の結節は、腫瘍か粘液塊か?

EUSの適応と判断され、実施した場合に最も重要な所見は、のう胞内に結節があるかどうかです。これがIPMNをフォローする上で最も重要であり、フローチャートにも結節がなければ経過観察が可能となると記載されています。

結節の診断が重要ですが実際のところ、大きなのう胞でなければ通常のエコーやCTでのう胞内結節をなかなか診断することは難しいです。だからこそEUS(超音波内視鏡)が大切になります。

EUSでは詳細にのう胞を観察できるため、結節の評価が可能となります。

 

のう胞内結節は腫瘍結節ではなく、粘液塊であることも多いです。

 

よって結節の質的診断が重要で、パワードプラや、ソナゾイド造影(保険適応外)で結節内に血流が確認されれば、粘液塊でなく、のう胞内腫瘍と考えます。

 

結節が粘液か、腫瘍かの判別に悩んだ場合は高次医療施設への紹介も検討しましょう。

嚢胞内結節は腺腫か癌か

次はこれが癌であるIPMC(膵のう胞が癌になったもの)か、腺腫(前がん状態)であるかが重要であります。

 

海外ではEUS-FNA(超音波内視鏡下穿刺吸引術)などでのう胞を穿刺し、

吸引液の細胞診やのう胞液中のCEAが評価する事が多いですが、

 

日本では播種(液体がおなかのなかにもれる)の問題があり、あまり実施されておりません
(のう胞を刺した後に腫瘍細胞がおなかの中にもれるという報告がありました)。

 

ERCPによる膵液細胞診は一つの選択肢にはなりますが、

分枝膵管型の場合はのう胞内に腫瘍がとどまっていることもあり細胞の採取が難しいこともあります。さらにERCP後膵炎のリスクもあります。ERCPを実施するかどうかは施設のスタンスにもよりますが、外科と相談して決定すべきでしょう。

 

のう胞内結節の大きさによる悪性度評価

そこで癌との鑑別に重要なのがのう胞内の腫瘍結節径になります。

IPMNは5ミリを超える結節(粘液塊でない)がのう胞内部にあれば手術を考えると2017年度のガイドラインで決まりました。

 

前回のガイドラインでは嚢胞内腫瘍のサイズが明記されていなかったのでこれによりある程度良性病変(腺腫)を除外することを目的としていることが推察されます。

 

しかし、実臨床では、5mmの時点で手術してみると腺腫であることもまだまだ多くまだまだ議論の余地があります。

 

膵臓の手術としてはPD(膵頭十二指腸切除), DP(膵体尾部切除), TP(膵全摘)が実施されますが、切除のリスクもあります。術後の血糖管理も必要でインスリンが必要となるケースもあります。

患者さんへの説明に関しては、基礎疾患、年齢、全身状態と手術リスクをしっかりとお話してフォローか手術かを決定していく必要があります。

 

なぜIPMNをフォローするのか

IPMNに関してはまだまだ悩みながら皆様診察されていると思います。

大阪国際がんセンターの論文では、膵臓がん発生リスクはMPD拡張(2.5mm以上)、嚢胞が5mm以上の両者の所見がある方は膵癌リスクが約27倍になっていたと報告しています。

膵管拡張を合併したIPMNの患者さんをしっかりとフォローすることで、早期膵癌の発見に寄与する可能性があります。実際この研究でみつかった癌は半数がstageⅠでした。

IPMNをフォローアップをすることで、たとえ癌がでても小さくみつけることができる可能性があるため定期的なフォローアップが必要なんです。

 

ただし、超高齢の患者様、基礎疾患が多い、膵臓手術ができそうにない患者様に関しては厳重にフォローすることがむしろ負担になるかもしれません。

半年に一回でも結構たいへんです。

 

手術適応のない患者さんをフォローするメリットは、shunの個人的な考えですが、

①癌が発生した場合に残された時間をある程度推定することができる。

②膵臓癌と診断された場合に残された家族への注意喚起ができる(遺伝のリスク)

などがあるとは思います。

100点満点の正解はありません。

患者さんとよく相談して患者さんと家族の価値観に併せて方針を決定しているのが実情です。

まとめ

High risk stigmataは、手術適応の決定に、Worrisome featureは、EUS適応決定に役立ちます。

5mmをこえる結節があれば手術の検討が必要です。

結節か粘液塊かはドプラ、造影EUS(保険適応外)、ERCPも検討が必要です。ERCPを実施する場合は外科と必要性を相談しておくことが大切です。

診断が困難な場合は、専門施設への紹介も検討しましょう。

主膵管拡張を伴うIPMNは要注意で定期フォローが必要です。早期膵がん発見に寄与するかもしれません。

基礎疾患が重い、高齢の患者さんは個人の価値観や家族とよく相談して方針をご検討ください。

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