QandA IPMN編 LINEメンバーY様からのご質問

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しゅん

しゅん

こんにちは!「EUS channel」のブログ運営者のしゅんと申します。 O型で趣味はEUSです。某EUS・ERCP high volume centerに勤めています。

EUSが好きすぎてこのサイトを作りましたが、もともとは白黒画像のEUSになんて全く興味はありませんでした。しかしEUSを実施するにつれて、早期膵癌の発見、ソナゾイド造影の美しさ、EUSガイド下ドレナージの患者満足度の高さを知るうちにどっぷりつかってしまい、自分自身にとって無くてはならない手技・存在になっていました。また、多くの膵がんの患者様を診療する中で、早期発見のためのEUSの大切さを実感するようになりましたが、全国でのEUS普及率はまだまだ低い状況であることもわかってきました。私の目標はこのサイトを通じてEUSを世の中へもっと普及させることで、日本全国の膵がん患者の予後改善に寄与することです。駄文ですが読んでいただければ幸いです。

LINEメンバーY様
LINEメンバーY様
いつも楽しく勉強させております。本当にありがとうございます。
IPMNで疑問があるのですが、
質問① 分枝型IPMNでworrisome featuresの、主膵管径5~9ミリの場合、分枝型IPMNのworrosome featuresとするのか、混合型IPMNとするのか、混合型IPMNかつworrisome featuresとするのかというのが悩みます。

質問②worrisome featuresの、隔壁の肥厚はなんミリを基準になさっていらっしゃいますでしょうか?また同様に質問③CA19-9の上昇も何か基準がございますでしょうか?

いくつも申し訳ございません。
質問④IPMNで結節なのか、デブリなのか粘液なのかというのは、やはり造影しないと鑑別は困難でしょうか?上級医の先生が非造影EUSで、これは粘液っぽいなぁとか、デブリだなとか言っているのですが、いまいちその判断がどういったものか不明なことが多くて実際悩みます。

お忙しいことと存じますので、もしお時間があるときにお聞きできたら嬉しいです。
先生のおかげでEUSが身近になっております✨

ご質問ありがとうございます。
「Worrisome(ウォリサム)
Highc risk stigmata (ハイリスクスティグマタ)」
わかりにくいですよね!混合型も難しい!!順番にお答えします。
しゅん
しゅん

質問①分枝型IPMNでworrisome featuresの、主膵管径5~9ミリの場合、
は分枝型IPMNのworrosome features?
それとも混合型IPMN?

Worrisomeと混合型IPMNがあたまの中でこんがらがってる雰囲気を感じますね!

シンプルにそれぞれの用語の定義を確認していくことが大切です。

まずworrisome featuresからみていきましょう。先日のHosshiの記事にもありましたが、
(IPMNについてつやきたくなった〜hosshiのつぶやき〜)

worrisome features=ちょっと心配な特徴 という意味です。

worrisome featuresはEUS適応を検討すべき所見としてIPMNガイドラインに記載されており、

 

worrisome featuresを満たしたら→EUSをしましょうということとなります。

 

ここでは混合型とか分枝型、主膵管型などはあまり関係ありません。この表では分枝型、主膵管型、混合型などあまり考えなくても問題がないように作られています。

 

しかし、IPMNのガイドラインでこの表のタイトルが、「分枝膵管型IPMNのフローチャート」と記載されていることが、話を難しく、複雑にしています。

 

これは私の推測ですが、実はガイドラインをよく読んでみると後半の英語Verでは、
分枝膵管型IPMNという断定的な書き方ではなく、 分枝膵管型IPMN疑いとなっています。

疑いなので、主膵管型や混合型がまぎれこんでもフローにのるように作成されているのではないでしょうか。

実際混合型でも、主膵管型でもこのフローチャートで手術適応決定はできます。

 

質問① 分枝型IPMNでworrisome featuresの、主膵管径5~9ミリの場合、
は分枝型IPMNのworrosome features?それとも混合型IPMN?

答え① 分枝型IPMNがある方で主膵管が5mm以上あれば、混合型IPMNとする。
また、worrisome featuresの特徴を満たしており、EUSの適応を検討する。

 

質問②worrisome featuresの、隔壁の肥厚はなんミリを基準になさっていらっしゃいますでしょうか?

隔壁は2.5mm以上としてるところが多いと思います。

岩屋先生のDENの論文では、隔壁2.5mm以上であれば、感度63%特異度68%で悪性と診断できるとしています。

特異度68%ということは偽陽性が32%くらいあるので癌ときめつけるのは難しいですが、
治療適応の参考にする所見となります。

 

今回の質問と直接関連があるわけではないですが、結節か隔壁の肥厚かがわかりにくいという質問もよくいただきます。この岩屋先生の論文では隔壁の肥厚の定義、結節の定義は

結節:IPMN内部に突出する背の高い乳頭状腫瘍

隔壁肥厚:IPMN内部の最も厚い隔壁


Iwaya et al, Digestive endoscopy 2019から引用

とされています。本論文では一例一例が病理と対比されておりシェーマもすごくわかりやすく理解しやすいと思います。内視鏡学会会員であれば学会ホームページからDENにアクセス可能ですから是非ご覧ください。

質問②worrisome featuresの、隔壁の肥厚はなんミリが基準ですか?

答え②隔壁2.5mm以上をひとつの基準としています。

 

質問③IPMNのCa19-9の上昇もの基準はございますか?

IPMNを経過観察するときに考えるべきことは、みているIPMNが癌化し、IPMCになるということだけではありません。IPMNとは別に発生する併存膵癌のことも考えておかねばなりません。

よってCA19-9の上昇に関しては少しでも上昇傾向がみられたら、IPMNの癌化と併存癌の発生の両者をみるためにしっかりEUSなどで精査する必要があります。

 

質問③IPMNのCA19-9の上昇の基準はございますか?

答え③IPMNでCA19-9が正常値以上に上昇していたらIPMCや併存膵癌の存在を考え、EUSなどで精査します。

 

質問④IPMNで結節なのか、デブリなのか粘液なのかというのは、やはり造影しないと鑑別は困難でしょうか?上級医の先生が非造影EUSで、これは粘液っぽいなぁとか、デブリだなとか言っているのですが、いまいちその判断がどういったものか不明なことが多くて実際悩みます。

これはむずかしいですよね。主観ではなかなか診断が難しいです。結節と思って造影してみると粘液塊であるということはよくあります。

ひとつはカラードプラやeFLOWを使うと鑑別ができることがあります。

これはeFLOWで結節をみているパターンです。結節内部に樹枝状の血管がみえています。
通常のセッティングよりカラーゲインを高め(上図は70程度)に設定してあげるとこのように見えることもあります。
カラーゲインをあげても再現性の高い血管がみえなければ、粘液塊の可能性がたかまります。
比較的大きな結節であればeFLOWは有用です。

是非お試しください。

質問④IPMNで結節なのか、デブリなのか粘液なのかというのは、やはり造影しないと鑑別は困難でしょうか?上級医の先生が非造影EUSで、これは粘液っぽいなぁとか、デブリだなとか言っているのですが、いまいちその判断がどういったものか不明なことが多くて実際悩みます

答え④eFLOWをつかってみましょう。大きな結節では再現性のある血管がみえることがあります。

 

 

 

もっとIPMNの画像を詳しく勉強したい場合はコチラの書籍がおすすめです。
胆膵EUSアトラス

P.25-P53までIPMNの画像がもりだくさんで、結節の鑑別(粘液あるいは腫瘍)のみならず、
胃型や腸型といった組織亜型分類まで詳しく書かれています。IPMNへの情熱がすごい一冊です。

しゅん

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こんにちは!「EUS channel」のブログ運営者のしゅんと申します。 O型で趣味はEUSです。某EUS・ERCP high volume centerに勤めています。

EUSが好きすぎてこのサイトを作りましたが、もともとは白黒画像のEUSになんて全く興味はありませんでした。しかしEUSを実施するにつれて、早期膵癌の発見、ソナゾイド造影の美しさ、EUSガイド下ドレナージの患者満足度の高さを知るうちにどっぷりつかってしまい、自分自身にとって無くてはならない手技・存在になっていました。また、多くの膵がんの患者様を診療する中で、早期発見のためのEUSの大切さを実感するようになりましたが、全国でのEUS普及率はまだまだ低い状況であることもわかってきました。私の目標はこのサイトを通じてEUSを世の中へもっと普及させることで、日本全国の膵がん患者の予後改善に寄与することです。駄文ですが読んでいただければ幸いです。

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